税金の種類
開業すると、事業主に対して様々な税金が課されます。全てを紹介できませんが、以下の税金は知っておきましょう。
<主な税金の種類>
業態 | 種類 | 概要 | 管轄 |
個人事業主 | 所得税 | 個人の所得(利益)に課せられる税。個人事業者の事業所得のほか、法人役員の報酬(給与所得)などに課せられる。 | 国(税務署) |
法人 | 法人税 | 法人の所得(利益)に課される税。 | |
共通 | 消費税 | モノやサービスの消費に課される税。消費者に代わって事業者が納税する。 | |
源泉所得税 | 給与・報酬を支払う際にあらかじめ所得税として差し引く税。差し引いた(源泉徴収した)事業者が納税する。 | ||
印紙税 | 契約書や領収書などの文書を作成したときに課される税。 | ||
事業税 | 個人・法人の所得(利益)などに課される税。 | 都道府県 | |
住民税 | 個人・法人の所得(利益)などに課される税。 | 都道府県 市町村 |
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固定資産税 | 所有する固定資産(土地・建物・設備等)に対して課される税。 | 市町村 |
個人事業主か法人かで課される税金が異なります。また、個人事業主、法人、共通でかかる税金もあります。税金を納める役所も、国、都道府県、市町村と税金の種類によって異なります。
開業後に行う手続き
税金に関わる届出を税務署(国)、都道府県税事務所、市町村にそれぞれ行う必要があります。特に青色申告をして税制上の特典を受けたい場合は、届出を忘れると特典が受けられません。また、個人事業か法人かによって届出書が異なるので注意してください。
主に必要な届出は以下の表のとおりです。届出書の詳細は関係する役所の窓口または税理士に相談してください。
<税金に関する届出>
業態 | 届出先 | 届出の名称 | 内容 | 提出期限 |
個人 | 税務署 | 個人事業の開廃業等届出書 | 事業開始を届出 | 開業から1ヶ月以内 |
青色申告承認申請書 | 税制上のメリットを受けたい場合に提出 | 開業から2ヶ月以内 | ||
青色事業専従者給与に 関する届出書 |
配偶者など家族に支払った給与を全額経費にする(青色申告者のみ提出可) | 専従者を有することとなった日から2ヶ月以内 | ||
給与支払事務所等の開設等届出書 | 従業員を雇用するときに届出 | 事実があった日から1ヶ月以内 | ||
源泉所得税の納期の特例の承認に関する届出書 | 従業員10人未満の会社は源泉所得税納付を年2回にできる | 期限なし(提出日の翌月に支払う給与から適用) | ||
都道府県税事務所 | 事業開始等申告書 | 事業開始を届出 | 開業から速やかに(自治体によって異なる) | |
市町村 | 事業開始等申告書 | 事業開始を届出 | 開業から速やかに(自治体によって異なる) | |
法人 | 税務署 | 法人設立届出書 | 法人設立を届出 | 設立から2ヶ月以内 |
青色申告承認申請書 | 税制上のメリットを受けたい場合に提出 | 設立の日以後3ヶ月を経過した日と設立した時の事業年度終了の日とのうち、いずれか早い日の前日まで | ||
給与支払事務所等の開設等届出書 | 従業員を雇用するときに届出 | 事実があった日から1ヶ月以内 | ||
源泉所得税の納期の特例の承認に関する届出書 | 従業員10人未満の会社は源泉所得税納付を年2回にできる | 期限なし (提出日の翌月に支払う給与から適用) |
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都道府県税事務所 | 法人設立届出書 | 事業開始を届出 | 設立から2ヶ月以内 | |
市町村 | 法人設立届出書 | 事業開始を届出 | 開業から速やかに(自治体によって異なる) |
普段からやらなければいけない業務
1)経理業務
事業を開始するとさまざまな経理事務が発生します。主なポイントは以下のとおりです。
事業用とプライベートとのお金の区別 |
税務上、費用として認められるのは事業用で使った費用のみです。
事業用の預金口座や「財布」を作るなど、明確に区別しましょう。 |
売上・仕入等の管理 |
売上には売上帳、仕入には仕入台帳、従業員の給与支払状況には賃金台帳、といったように、主な事業活動の状況は別の帳簿でまとめておくと、経営状況やキャッシュフロー把握にも役立ちます。 |
証ひょう書類(エビデンス)の整理 |
請求書や領収書、レシートなどの証ひょう書類は取引先とのトラブルがあった場合には証拠書類としての効力を持つので必ず貰うようにしましょう。また、支払の領収書やレシートなどがあればその分経費として認められ、税金の対象となる所得を低くすることができます。
証ひょう書類は月別に内容ごと・取引ごとに分けて時系列で保存しておくと便利です。 取引を入力する場合や過去の取引を見返す場合などを想定して、自分の見やすい方法で保存しましょう。領収書が貰えない場合には、取引内容を帳簿に記載したり預金通帳にメモ書きしたりしておきます。 |
2)毎年行わなければならない申告・届出
税務上、最低限、以下の申告、届出等を税務署、都道府県、市町村にしていく必要があります。
確定申告 | 法人は決算期の翌々月末に法人税等の申告、個人事業主なら翌年3/15まで所得税申告(個人の消費税申告は3月末) |
年末調整 | 毎年12月頃 |
法定調書、給与支払報告、償却資産申告 | 翌年1月末まで |